機内Wi-Fi比較~全日空ANA/日本航空JALつながりやすいのはどちら?
機内Wi-Fiを比較。全日空ANA、日本航空JALつながりやすいのは?座席の位置やつなげるタイミングで違いはある?機内Wi-Fiのしくみや航空会社の戦略の違いを解説。搭乗中の使用を快適に!
全日空ANA/日本航空JAL Wi-Fi接続比較
ANAとJALの国内線の無料で使える機内Wi-Fi、つながりやすさで言えば、JALに軍配が上がります。
その理由は2017年夏ごろの期間限定機内Wi-Fi無料キャンペーン。経緯については次項で詳しく解説します。
つながりやすさは機内Wi-Fi機器のスペックの違いからなので、ANAのほうもあることをすれば、問題なくつながります。
「あること」も後で公開しますのでお楽しみに。
Wi-Fi接続無料キャンペーン
国内線でWi-Fiが使えるようになったのは2016~2017年ごろからです。以前は機内でWi-Fiは繋がりませんでした。
ANAとJALの両社とも2017年の夏頃に期間限定で、機内Wi-Fiの無料キャンペーンを行っていました。
その後は国際線と同様に有料になるかと思いきや!
JALは、突然嵐をCMに起用して、国内線の機内Wi-Fiがずっとタダというキャンペーンを開始。
推測ですが、ANAはJALが無料にするとは思っていなかったのではないでしょうか。
JALが無料のキャンペーンを開始したことで、一番の顧客であるビジネス客がJALに流れてしまう可能性が出てきました。
そこで追随して、ANAも無料にすると表明してきたわけです。
戦略の違いが、機内Wi-Fi環境の配備方針にも影響し、つながりやすさに差が出たのではと思います。
つながりやすさの比較は戦略の違いから
JALは、搭乗中の多くの方が一斉に使っても、接続できるようにしているようです。
僕の意見ですがJALで繋がらなかったことはほとんどないですし、僕の周りでも、JALの機内Wi-Fiが繋がらないと聞いたことがありません。
ANAのほうが繋がりにくいとよく聞きます。
Wi-Fiボタンを押しても、パソコンやiPhoneが繋がらない。
ANAは無料キャンペーン終了後、有料で提供する前提だったと推測されます。
大型機では同時に機内でWi-Fiに繋がる数(同時接続数)を、JALより低く見積もって設置しているのかもしれません。
JAL: もともと無料にする方針で機内Wi-Fi環境を整えた→多くの方が同時に接続可能
ANA: キャンペーン終了後は有料前提のため、同時接続数を低く見積もった→接続数に制限あり
このような方針の違いで、ANAのほうが、繋がりにくくなっているのではないかなと思います。
JALの戦略に軍配
これは、推測ですが、JALは、もともと無料で提供することを前提として、機内Wi-Fiの設置工事をしたのではないでしょうか。
例えば、ボーイング777では400~500人のお客さんが乗りますが、JALでは多くの方が接続しても大丈夫な設定や機器設計にしているらしい。
無料で使えるなら、搭乗者の最大70~80%が使う可能性があるわけです。
羽田―伊丹、羽田―福岡、羽田―北海道などのビジネス路線では、多くの方が同時にWi-Fiに繋ぐ可能性があります。
ANAで確実にWi-Fiに接続する方法
実は、ANAの中の人に聞いてみました。
満席のボーイング777の羽田―伊丹便の機内Wi-Fiでは、機器の設計上全員が同時には繋がらず、同時接続数には上限があるそうです。
機内の全員が、一斉にインターネットに繋ごうとしても、機内の機械のスペックの問題で、全員は繋がらない。
何人まで繋がるのかは言えませんが、ボーイング777でのキャパシティは、そう多くはないようですね。
では、どうやって繋がる機器が決まるのかというと、先着順!
繋げるためには?
Wi-Fi 接続のタイミング
離陸したらすぐに、繋ぐのがベストタイミングです。
*ANA Wi-Fi Serviceの利用には、搭乗前までにANA公式モバイルアプリ「ANA」のダウンロードをしておきましょう。
インストールを忘れてもWi-Fiに接続は可能ですが、アプリを入れておいた方が簡単ですし、つながりやすいので事前のダウンロードをおすすめします。
離陸後5~10分すると、Wi-Fiが繋がるようになります。
このとき、先着順に機内Wi-FiとiPhoneやパソコン、タブレットなどが繋がります。
繋がっている間はその回線が維持されます。機内Wi-Fiのキャパ数に達すると、新規の接続は受け付けられません。
既存で繋がっている接続が解除されない限り、枠は空かないのです。
搭乗中何回やっても繋がらないのは、同時接続数の枠がいっぱいになってしまっているから。
同時接続数の関係で、ANAはつながりにくいということになります。
※ANA、JALともに無料Wi-Fi接続サービスは、接続機器を装着している一部の機材による運航便でのみ利用可。
機器メンテナンス、システムメンテナンス中も使えないことがあります。
ビジネス路線はつながりにくい
地方便やリゾート便は一般の方が多く、Wi-Fiを使用する人が大勢いるとは限りません。
一方ビジネスでの利用が多い主要路線では、ビジネスマンが機内で仕事をするため繋ぐ方が多い傾向にあります。
そういった路線では、離陸して早期に同時接続数を超えてしまい、繋がらなくなってしまいます。
繋がらないとクレームを言う方もいらっしゃいますが、飛行機のWi-Fi機器のスペックの問題です。
繋がらずにイライラしても仕方ありません。
せっかくの機内の時間です。本を読んだり、考え事をしたり、リラックスをしたりと、違う時間の使い方をしようと割り切るのも良いのではないでしょうか。
座席の位置でつながりやすさは違う?
機内前方のプレミアムクラスやファーストクラスは電波が繋がりやすい、と言われますが、そんなことは一切ありません。
電波は、機内で均等になるように設計されているので、機内の前も後ろも同じように繋がります。
前の席だから繋がりやすい、速度が速いということは、特にないので心配無用です。
機内の空気も同じで、約2分半に1回循環しています。座席による空気循環の違いは特にありません。
家にいるより、機内のほうがよっぽどきれいです。
飛行機でWi-Fiがつながるしくみ
飛行機は上空1万メートルを時速約800㎞、とても高い位置を、非常に速く飛んでいます。
ここに、どうやって電波を届けるのか。
日本の国内線では、地上の基地局から人工衛星を経由して電波を飛ばしています。
飛行機の頭の上にポコッとコブがあり、その中に、Wi-Fiのアンテナが入っています。
そのコブのアンテナで、人工衛星経由の電波を受信します。
宇宙を経由してから届く理由
基地局から直接電波を受信したほうが電波の移動距離も短く、より速度も速いです。
それなのに、なぜわざわざ人工衛星経由なのか。そこには日本独自の理由がありました。
アメリカの国内線はほぼ陸地を飛んでいるので、人工衛星を経由していません。
一定の間隔で設置されている地表のアンテナから、飛行機に向かって電波を発しています。
これだと電波の移動距離が短いので、より速い速度が出せます。
日本の国内線も陸地も飛びますが、多くの航路は海上を飛行します。
日本海や太平洋の海側を飛んだり、沖縄なども海の上です。
そのため、地表のアンテナの導入はできないので、基本的に人口衛星を経由して受信しています。
コストと時間と労力
電波を飛ばす、受信する。言葉では簡単です。
機内Wi-Fiのアンテナをつけるだけでも、突起物をつけるという許可を取ったり計算、工事は大変難しい。
30~40mという長い飛行機の前から後ろまで、電波を均等に飛ばす配線を考えてみてください。
小型飛行機でアンテナ3つ、長い飛行機で6つくらいWi-Fiの中継ポイントを機内に作ります。
すべてではありませんが、多くの場合一度内装をはがして、内装の下にWi-Fiの配線を通していくという大がかりな工事です。
そのため、機内改修や大規模検査の時に合わせて行うことが多いです。
飛行機にWi-Fi電波を飛ばすというのは、実は、ものすごいコストと時間と労力がかかっているのです。
「つながらない」とクレームを言う前に、そういうことも知ってほしいな、と思います。
もちろん無料で提供すると言っている以上、快適に繋がってほしいですね。
機内Wi-Fi環境比較
今回は、ANAとJALの無料機内Wi-Fiの違い、制度設計や方針、スペック、同時接続数が違うことをお伝えしました。
大型機では、同時に接続できる回線数が決まっています。
どうしても機内Wi-Fiを使いたい方は、離陸したらすぐに繋ぐとよいでしょう。
またパソコンやスマートフォンは一度画面を閉じると、Wi-Fiの接続が切れてしまうことが多いので、注意してください。
少し前までは「飛行機に乗ったら、パソコン、ケータイは完全に電源を切って、使ってはいけない」
という時代。
2014年頃から緩和されてきて、フライトモードや通信ができない状態ならパソコンやスマートフォンが使えるようになりました。
そのような過程を踏み、無料で機内Wi-Fiに接続できるようになっています。
航空会社が設備投資をして、無料で提供してくれています。
繋がらなかった時は、仕方ないと思って、広い心で使っていただければと思います。
(2020.4.20現在の情報です。)